旗袍のパイピング(滚・镶滚)

旗袍用語集
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パイピングは中国語で「滚」・「镶滚」、ピンインは「xiāng gǔn」。

パイピングとは裁縫用語で「縁どりをすること」です。

ぱおつ
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パイピングの一般的な説明はページ下部に書いています。

漢字を一つずつ分けると、

  • 镶…縁どりや線(太めのパイピングテープ)
  • 滚…縁どり(細めのパイピングテープ)

です。

下の写真では濃いピンク色がパイピングです。このパイピングは細いので、中国語では滚です。

パイピングは同系色の濃いピンク。リネン製の平肩連袖旗袍です。atelier leilei提供。

生地やレースとは違う別の布をパイプ状にして、薄いピンク地の旗袍を包むように縫い込みます。

似た例をもう一つ。

次の写真はatelier leileiの作品として作成した旗袍(チャイナドレス)の例です。

アトリエ・レイレイの作った旗袍。パイピングとチャイナボタンのアップ写真。atelier leilei提供。

この旗袍はパイピングにレース生地を挟むことで、装飾性を高めています。

ふつう、パイピングは「滚」だけでも使われます。

たまに、2つのパイピングに隙間を作って、生地を出したり、別の布を縫いつけたりすることがあります。そういうとき、隙間の線も含めて「镶滚」といいます。日本語訳ですと「線入り縁どり」や「線入りパイピング」となります。

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滚だけの場合と镶滚の場合

旗袍のパイピングには、滚だけの場合と镶滚の場合があります。デザインポイントであると同時に、観賞ポイントでもあります。

滚だけの場合

次の作品はatelier leileiの作った平肩連袖の旗袍です。パイピングの数は2本、つまり2滚です。

平肩連袖旗袍。镶滚は線入り縁どりのことで、ピンイン表記は「xiāng gǔn」。atelier leilei作成。

镶滚の場合

作る人によっては、隙間をとって滚を2つつくるとき、生地の部分を隙間として出すことがあります。この隙間にあたる線や面を「镶」といいます。

次の写真では、上の作品は3镶3滚になっています。下の作品は(1镶)3滚になっています。

楊成貴『中国服の作り方全書』文化出版局、1978年、31頁。

漢族の婦人服は装飾的なスタイルでした。この影響を受けて、清王朝の半ば以降、もともと素朴だった満族衣装にも華やかな線入り縁どり(镶滚)が使われていきました。

その結果、清朝期中国では、漢服にも旗袍にもさまざまな線入り縁どりが使われました。

漢族女性の服には镶滚が多用されました。清朝期に使われた镶滚は明朝期をしのぎました。

滚や镶滚の観賞ポイント

清朝期には、2镶2滚から5镶5滚までがよく使われました。

清朝期の旗袍を見るときは、皆さんも镶と滚に注目してみてください。装飾を楽しむ幅が増えますよ(*^^*)

接袖旗袍には、領から腕の付根までを肩の頂点に沿った裁断縫製(肩縫)も併用されました。

その場合に発生する線を肩縫線といいます。肩縫と接袖は、旗袍製作最大の難所である大襟部分の裁縫を簡素化させています。

肩縫線と接袖部分の2点で裁断された単独の布が右肩から右胸板にかけて縫いこまれます。まれに大襟が左方へ開かれる場合もあります。

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旗袍にパイピングテープを付ける方法

文字だけでは説明しにくい箇所もありますから、動画と合わせてご覧ください。

動画で作っているパイピングの幅は0.5cm幅です。必要なパイピングテープ(バイヤステープ)は3cm幅です。

パイピングテープの縫い方

  1. パイピングに使う生地に薄い芯地を貼ります。
  2. 斜め45度のバイヤステープに3cm幅でカットします。
  3. アイロンで1cmのところに折り目をつけます。
  4. テープと生地を中表で合わせて、待ち針で止めます。
  5. ミシンで0.5cm幅で縫います。縫い始めと縫い終わりは返し縫いをします。(上糸はパイピング
  6. テープに近い色、下糸は身頃に近い色を使用)

角の縫い方

  1. 縫い終わりは最後まで縫わず、0.5cm残します。
  2. 角に沿ってパイピングテープを折ります、文字での説明は難しいため、動画を参考ください。
  3. 角に沿って折ったパイピングテープを始めから縫います。

仕上げステッチ

  1. 中表で縫ったパイピングテープを表側が上にくるように折ります。(動画参考)
  2. 待ち針で止め、表側が上になるように仕上げステッチをかけます。
  3. この時、上糸は身頃に近い色、下糸はパイピングテープに近い色に変えます。
  4. パイピングテープに沿ってステッチをかければ完成です。ステッチはパイピングテープにかからないように注意してください。

ご視聴・ご閲覧ありがとうございました。

文字だけでは説明しにくい箇所もあります。どうぞ動画と合わせてご覧ください。

パイピングとは

そもそも、パイピングとは解れ止めや装飾のための縁どりの一種です。布地の縁に別布をパイプ状に縫いつけます。英語で「piping」。日本語で「玉縁縫」(たまぶちぬい)とも。

いいかえれば、布端をバイアス・テープや別布で包む作業(始末)。また、細いコード状のものを切替線に挟みこんで装飾する作業も含みます。英語で「piping」。

布端を包む場合、バイアス・テープや別布のほかに共布(生地と同じ布でパーツとしては別布)を用いることがあります。

布端にパイピングを使う箇所(ディテール)には布の裁ち目、ポケットの切り込み、ボタン・ホール(ボタン穴)などがあります。

パイピングの方法

パイピングの方法には、主に4つの方法があります。

  1. 縫い目を表のみに出さないことを目的とした2枚の布地に対するパイピング
  2. 縫い目を表裏ともに出さないことを目的とした2枚の布地に対するパイピング
  3. 1枚の布地に対するパイピング
  4. 毛糸などをくるんでふくらみを持たせたパイピング

などです。

パイピングの縫い方と縫目

パイピングの種類

パイピング・ポケット(玉縁ポケット)

ポケットの切り込みにパイピングを用いたものはパイピング・ポケットや玉縁ポケットといいます。この種のポケットには2種類あります。

  1. 片玉縁…切口片側にパイピング(玉縁)を施している
  2. 両玉縁…切口両側にパイピング(玉縁)を施している

前者を単にパイピング・ポケット(piping pocket)といい、後者をダブル・パイピング・ポケット(double piping pocket)、ダブル・ウェルト・ポケット(double welt pocket)、ジェッテッド・ポケット(jetted pocket)ということも。

パイピング・ボタン・ホール

パイピング・ポケットのようにボタン穴(ボタン・ホール)をパイピングで縁取ることもあります。

これをパイピング・ボタン・ホール、またはバウンド・ボタン・ホールといいます。ボタン穴の多くはダブル・パイピングされます。

パイピング・カフス

カフスに用いられるパイピングの多くは、ギャザー状の袖口に用いられます。

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ぱおつ
この記事の著者

旗袍好きの夫婦で運営しています。ぱおつは夫婦の融合キャラ。夫はファッション歴史家、妻はファッションデザイナー。2018年問題で夫の仕事が激減し、空きまくった時間を旗袍ラブと旗袍愛好者ラブに注いでいます。調査と執筆を夫、序言と旗袍提供を妻が担当。

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