インダンスレン染料は、アンスラキノンから誘導されたアンスラキノン系の建築用染料のことです。略語はスレン、英語表記は「Indanthrene Dyes」。
1901年にドイツのレネ・ボーン(René Bohn)が発明しました。当初から建築用染料に使われていて、1960年代ころには堅牢度が最高級の建染染料に、すべてこの冠称をつけていたそうです。
生地では、綿、麻、レーヨンなどの植物性繊維の染色によく使われますが、苛性ソーダを加減して使えば絹や羊毛にも用いられます。
近代中国では旗袍にも作業服にも使われていました。服の用途が広いです。近代日本でも、金巾、ポプリン、天竺などとならび、スレンはいわゆる25番手上下の綿布として、炭鉱労働者むけの仕事着などによく使われていました。
しゃんつ
もともと、人類は茜色(赤色)と藍色(青色)を天然色にもっていました。そのうえでインダンスレン染料が開発されたので、かなり青々とした衣服が地球上にまん延したように想像します。
ぱおつ
地球はもともと青いよ。
しゃんつ
…。
もとい、山東省の事例から、徐華龍『民国服装史』は「色彩は青・藍・黒がメイン」という一節を設けています。
もっとも、インダンスレン染料は藍色だけだったんじゃありませんが、当時の広告ポスターをあれこれ見ていると、藍色が多いです。
インダンスレン布の旗袍を実際に着ていらっしゃる方のブログをみつけたので、こちらにリンクします。