高春明『中国古代平民服装』は「古代中国の社会生活」シリーズの一つとして出版された、中国古代の平民服装の本です。
本書の構成は独特で、項目別に述べられているうえ、最初に衣服形態をたった7ページでまとめてくれています。そして素材や色彩が続き、服飾の各パーツ、使用TPO、タブー、身分、通史という構成です。
最初に目次をみておきましょう。
目次
歴史的起源
構成
- スタイル
- 素材(葛麻、絹、綿、毛皮)
- 色
形状カテゴリ
- 首服
- 衣服(ワンピースと上衣)
- ズボンとスカート
- 足衣(靴下と履物)
使用TPO
- 祭祀
- 婚姻
- 葬儀
タブー律令
- タブー
- 律令
アイデンティティの特徴
- 農民
- 学者
- 商売人
- 坊主
- 売春婦
- 遊民
沿革変遷(通史)
- 先秦
- 漢魏
- 隋唐
- 宋元
- 明清
主要参考文献
本書のメリット
本書のメリットは項目別に構成している点です。ふつう、ファッション史は時代ごとにいろんなアイデンティティの人をとりあげて、あれもあった・これもあったと並び立てるだけです。
でも、私たちのファッションを考えてみれば、そんなにころころ変わるものではありませんね。被るか、羽織るか、着るか、穿くか…。人類はファッション生活で、これくらいの動作しかやってこなかったのですから、衣服の形も、じつはあまり変わっていないのです。
そうすると、アイテム別に数百年ほどの歴史をまとめてくれたほうが、わかりやすいんです。
本書はそれに応えてくれる良書です。
フォントが大きめで薄い分、イラストや写真資料が乏しいのですが、いいんです。言葉で理解しやすい本ですから、これと並行して図版の多い本とあわせて読んでいけば、楽しく中国服飾史が学べます。
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