旗袍には肩縫線(ショルダー・ライン)がよく使われます。
肩縫線とは、人体の肩に該当する箇所にある衣服の切目と縫目のことです。
英語表記は「shoulder seam line」や「shoulder stich line」。片仮名表記は「ショルダー・シーム・ライン」や「ショルダー・ステッチ・ライン」など。
肩縫線を入れる目的は、生地を節約するためです。また、肩の張りを強める目的にも使われます。
20世紀の世界的な洋服の普及で、今では多くの衣服に見られます。みなさん、いま着ている服の肩やクローゼットの服の肩をざっと見てみてください。
肩縫線は身頃を前後に分け、肩と袖も分けます。肩縫線は、小分けする洋裁らしさや洋服らしさを示しています。
そして、アーム・ホール(腕環)に接しているため、袖つけをするときは、衣服制作で最も難しい箇所の一つになります。
旗袍の肩縫線(ショルダー・ライン)
清代から継続された平肩連袖の旗袍には、肩部分に裁縫をほどこしたもの、つまり肩縫線がありました。
民国期になって旗袍の洋服化が進むなかで、肩縫線は連袖と継続して使われたり、新たに接袖と連動して使われたり。たまに無かったりするものもあります。
これは黒色生地に花柄を白色に添えた平肩連袖・大襟の旗袍。
立領の縫目から白のチャイナボタンまでが肩縫線です。線が見えるうえ、生地柄が切れていることからも確認できます。
次いで、レトロなチューリップ柄の平肩連袖・八字襟の旗袍。
袖を広げた状態の写真なので、肩縫線が見えません…^^;
バストダーツとウエストダーツがなく、体を締め付けないゆったりとした着心地になります。
日本のファッション辞典では取り上げられませんが、とても重要です。
関連リンク
次のページは身体に衣服を沿わせるために正しいアーム・ホールを付ける方法を記した記事です。肩縫線が大切な事がわかります。「To Get the Right Armhole, Fit the Bodice – Threads」
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