旗袍の肩縫線(ショルダー・ライン)

旗袍用語集
この記事は約3分で読めます。
記事内に広告を含みます。

旗袍には肩縫線(ショルダー・ライン)がよく使われます。

肩縫線とは、人体の肩に該当する箇所にある衣服の切目と縫目のことです。

英語表記は「shoulder seam line」や「shoulder stich line」。片仮名表記は「ショルダー・シーム・ライン」や「ショルダー・ステッチ・ライン」など。

肩縫線を入れる目的は、生地を節約するためです。また、肩の張りを強める目的にも使われます。

肩縫線 : 旗袍のボトル・カバー。肩縫線を確認できます。福来閣にて。2017.12.10撮影。

20世紀の世界的な洋服の普及で、今では多くの衣服に見られます。みなさん、いま着ている服の肩やクローゼットの服の肩をざっと見てみてください。

肩縫線は身頃を前後に分け、肩と袖も分けます。肩縫線は、小分けする洋裁らしさや洋服らしさを示しています。

そして、アーム・ホール(腕環)に接しているため、袖つけをするときは、衣服制作で最も難しい箇所の一つになります。

スポンサーリンク

旗袍の肩縫線(ショルダー・ライン)

清代から継続された平肩連袖の旗袍には、肩部分に裁縫をほどこしたもの、つまり肩縫線がありました。

民国期になって旗袍の洋服化が進むなかで、肩縫線は連袖と継続して使われたり、新たに接袖と連動して使われたり。たまに無かったりするものもあります。

立領の縫目から白のチャイナ・ボタンまでが肩縫線。線が見えるうえ、生地柄が切れていることからも確認できます。上海の貴婦人たちが着た旗袍の珍蔵コレクション(楊雪蘭)。A rare Appreciation of the Qipao worn by the Grande Dames of Shanghai, Ms Shirley Young(楊雪蘭), via 『上海名媛旗袍宝鉴』, 38頁。

これは黒色生地に花柄を白色に添えた平肩連袖・大襟の旗袍。

立領の縫目から白のチャイナボタンまでが肩縫線です。線が見えるうえ、生地柄が切れていることからも確認できます。

次いで、レトロなチューリップ柄の平肩連袖・八字襟の旗袍。

平肩連袖・八字襟の旗袍。レトロチューリップ柄のチャイナドレス。 via atelier leilei提供。

袖を広げた状態の写真なので、肩縫線が見えません…^^;

バストダーツとウエストダーツがなく、体を締め付けないゆったりとした着心地になります。

日本のファッション辞典では取り上げられませんが、とても重要です。

スポンサーリンク

関連リンク

次のページは身体に衣服を沿わせるために正しいアーム・ホールを付ける方法を記した記事です。肩縫線が大切な事がわかります。「To Get the Right Armhole, Fit the Bodice – Threads

旗袍用語集
スポンサーリンク
この記事の著者
ぱおつ

旗袍好きの夫婦で運営しています。ぱおつは夫婦の融合キャラ。夫はファッション歴史家、妻はファッションデザイナー。2018年問題で夫の仕事が激減し、空きまくった時間を旗袍ラブと旗袍愛好者ラブに注いでいます。調査と執筆を夫、序言と旗袍提供を妻が担当。

この記事の著者をフォロー
このページをシェア
この記事の著者をフォロー

コメント

タイトルとURLをコピーしました