この本は知人の方から頂きました。謝謝。
書名のとおり、中国近代の様々な広告を集めた文化史です。20世紀初頭のまだ清朝期の広告が比較的多く取り上げられているのが本書の特徴。近代の中国服装史としても読めます。
著者は遼寧大学副教授、出版が台湾。こういうネットワークの強さは中華圏ならでは。
画家や印刷の逸話が豊富で、資料を丁寧に整理しているなぁと感じられる1冊です。
本書の概要
著者が友人と一緒に北京のレストランでたまたま発見したというPirate(老刀牌)。
この煙草ブランドの箱に関するエピソードから始まる何ともほのぼのした図録です。といっても文化史的に広告デザイナー、広告形式の発明、広告からみた中西合壁(中西融合)、女性解放運動などのテーマに分けて叙述と分析が行なわれています。が、絵図が多いのでそっちに目が行きます。
つまり、贅沢な本です。
大量の広告ポスターの中でやっぱり一番多く収められたのは煙草。当時は想像を絶するほどの人々が煙草を吸っていたのかと想像します。単に非喫煙者の著者が煙草を中心に集めたのかも知れませんが。煙草の箱に描かれたイラストは様々ですが、旗袍を着た女性が多く、本書によると1930年代に急増したとのことです。
旗袍女性をモデルにした広告ポスター(カレンダー・ポスター)の画家たち、鄭曼陀、杭稚英、謝之光、倪耕野らの経歴にも詳しいです。
中西合壁について細かく丁寧に説明しています。絵画技法、字体、商標図案、描画形式、民族性と世界性の5点から。
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