「偶像来了(アップ・アイドル)」は2015年に放映されていた中国の大型アイドルリアリティー番組です。
11回目にはブリジット・リン(林青霞)が登場したので「人民網日本語版」(2015年10月21日)が大きく取り上げました。
一緒に登場したタレント(アイドル)は次のとおりです。
- ヤン・ユイーイン(楊鈺瑩)
- アテナ・チュー(朱茵)
- ニン・チン(寧靜)
- ツァイ・シャオフェン(蔡少芬)
- シェ・ナー(謝娜)
- チャオ・リーイン(趙麗穎)
- クリスティ・ジャン(張含韻)
- グリナザ(古力娜扎)
- オウヤンナナ(歐陽娜娜)
1930年代の上海をイメージした民国期ふうの旗袍を着て上海灘を訪れました。
そして、「オールド上海」のレトロ・グラフィックを撮影。
ゴージャスで見ていてほれぼれしますが、この手のレトロふう写真でいつも残念に思うのは、男性陣。若くて華奢…。女性を引き立てるのは中年男性でしょう。
次の記事元ではレトロ・グラフィック撮影会の旗袍写真を20枚ほど見られます。
ブリジット・リン(林青霞)と旗袍
ところで、ブリジット・リン(林青霞)は男性の麗人として有名な台湾女優。
彼女の映画をたくさん見ましたが、だいたい衣装は次の3パターン。
20世紀前半が舞台の映画なら男性ふうのスーツ、時代劇なら前開きワンピース、原題が舞台ならアイドル風にワンピースの洋服。
つまりブリジット・リンが旗袍を着た映画はほとんどありません。
ですから「人民網日本語版」の公開したブリジット・リン(林青霞)の旗袍姿は珍しいです。
民国期に実際にいたように想像もできますが、似合ってません…。
偶像来了(アップ・アイドル)にみる生地再現の困難
ブリジットリンも参加したこのイベントにケチをつけるのは少し恐縮です。
建物蓄音機家具などを民国風のものを揃えて再現したつもりでも、一番再現できていないのが旗袍だったりします。
民国旗袍をとらえた同時代の写真やイラストにくらべ、再現された旗袍は光沢がありすぎるように思います。
世界中の歴史衣装にいえることですが、民国旗袍の生地の質はもはや再現できません。
生地再現の困難さ
この理由には、
- 生地の素材となる糸の性質が変わった可能性
- 旗袍の素材となる織物の性質が変わった可能性
の二つが考えられます。
生地再現の困難さについて、逆に考えるとわかりやすいです。
つまり、1世紀も品質を買えずにつくることは難しい、と。モノはいくつもの原材料からなります。このすべての原材料を変えないようにすることは至難の技です。
サテンの光沢
そのうえで、もう一つ考えられるのがサテンについて。
当時の旗袍を集めた展覧会やカタログをみても、たしかにサテンを使って光沢をもつものがありますが、現代の撮影技術が高くなりすぎてサテンの濃淡が活かせていません。
サテンじゃない部分の生地が民国期と今では違うという結論になってしまいます。
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