世界的な傾向だったと思いますが、民国期の中国では煙草の広告がとにかく多いです。
梅蘭芳牌香烟
このイラスト広告は、北京生まれの京劇俳優だった梅蘭芳(梅兰芳)の名を冠したブランド香烟(煙草)です。
販売元は中国南洋兄弟烟草公司で、1905年に広東で実業家兄弟の簡照南と簡玉階が設立した会社です。
1916年に上海市虹口区東大名路817 号にて上海店をオープン。現在は南洋兄弟烟草股份有限公司として香港を拠点に営業を続けています。煙草業界では中国最長の営業期間をほこる老舗みたいなものです。
説明によると、梅蘭芳ブランド煙草は、高等技師の棟が選び抜いた葉を加工製造したもので、梅郎(梅蘭芳のこと)の文字が瓶に美しく印刷されています。机の上におけば梅郎と過ごせますよ。
私は京劇ファンでも演劇ファンでもないですが、まぁ、ファンなら吸いますよね。
煙草は両側カット(フィルターなし)っぽく、今にくらべて質感があります。
梅蘭芳牌香烟の広告にみる京劇のガウン
広告イラストには、煙草ケースが描いてあって、その中にも京劇衣装をした梅蘭芳が描かれています。どちらのイラストも着ている服は単純には旗袍といえず、むしろ、重ね着をした漢服のイメージ。
右側の衣装は立領がありそうですけど、一番アウトのガウンとは続いていませんから、インの一部でしょう。缶ケースのほうは、立領のベストか肩掛けのよう。対襟仕様ですね。
これほどルーズなガウンの裾を引きながら舞台をするというのは、門外漢としてビックリ。そういえば、近代化によって中国でも日本でも裾引きの習慣がなくなった(減った)のは、大きなファッション転換の一つです。
ついでと言っては何ですが、小説のあいだに突然あらわれた梅蘭芳。欧米にいって公演した梅蘭芳と説明つき。
この出張公演でアンナ・メイ・ウォンとロンドンで会ったのかと思いましたが、調べてみたらそれは1935年とのことでした(Anna May Wong and Mei Lan Fang, London 1935 – NYPL Digital Collections)。
アンナ・メイ・ウォンを徹底的に調べたいと思いながら、思いはたせず…。その辺の事情はこちらにメモしましたので、お気が向かれたらお読みください。
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