旗袍女性の広告(1928年):緯成呢生地(万籟鳴)

イラスト・ポスター
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この広告は、『婦女雑誌』に掲載された緯成呢生地の広告です。

作画は万籟鳴。

のちの1930年代・1940年代には、旗袍を着た女性がカレンダー・ポスターなどでよく登場し、肝心の商品よりも主役になっていきます。

今回紹介する広告も、1920年代の広告ですが、何の商品を売っているのかが一言では分かりません。

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緯成呢

それで、文章を簡単に訳してみます。

「欧米各国の婦女の服装にはとても注意せよ。近年、わが国でも女権は拡張し、交際範囲が広がり、扶助の装束は重要な問題となっています。だから、当社は誠実な指導をして、女性の同胞たちに国産品を使うよう促します。この緯成呢という生地は、いま流行っている新しいスタ売るで、軽くて美しさも倍増。丈夫で柔らかい、とても長持ちする生地です。ぜひみなさん、試してください。」『婦女雑誌』第17巻1号、婦女雑誌社、1928年1月、134頁。

緯成呢という生地販売店は、中国上海市イギリス租界内、北京路100号3階にありました。

さて、この広告から、1928年ころの旗袍女性の一面を特徴づけましょう。

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1928年の旗袍女性の広告:緯成呢生地(万籟鳴)

緯成呢の広告。作画は万籟鳴。合わせるところが中央ではなく左首の横に設定しいます。このような領を筒子領といいます。出典は『婦女雑誌』第17巻1号、婦女雑誌社、1928年1月、134頁。

この広告の服装には、二つの可能性があります。

  1. 袖で切替して、重ね着風にみせたワンピース
  2. 中はチャイナ・ブラウスで、上はノースリーブのワンピースの重ね着

1928年ころに、どちらの着方もありました。この衣服が旗袍であると仮定すれば、<1>の可能性しかありません。旗袍だとして話をすすめます。

<1>の例に次のイラストがあります。

青と白、枝模様のドレス。立領と大襟に繋がるパイピングとチャイナドレスは一連のものなので、これは2種の記事をつなげたワンピース、つまり旗袍といえる。中国の青花陶器の雰囲気が強く、カラフルな色合いはありませんが、美しい女性の無邪気さと優雅さを表しています。ゆったりした裁断、波のようなレースを伴う仕立ては、いつものように女性の気持ちを反映しています。白雲『中国老旗袍 : 老照片老広告見証旗袍的演変』光明日報出版社、北京、2006年、105頁。

<1>を前提に分析すると、立領は後述のような筒子領です。白地の袖が中衣に見えていますが、この部分をチェック柄の身頃と縫合しています。縫合部分は腕の付け根、つまり接袖と同じ部分です。袖は平肩斜肩はともかく、接袖(セットイン・スリーブ)です。

この角度からは大襟やチャイナドレスが見えません。左側のスリットは腰に巻いたマフラーかスカーフで見えません。

ラインは上半身がスリムで、下半身にゆとりがあります。Aラインですね。

スカート部分の裾がスカラップ・ラインになっていて珍しいです。

筒子領

立領がチャイナ・ブラウスの一部であろうと、旗袍の一部であろうと、面白いのは、合わせるところが中央ではなく左首の横に設定していることです。このような領を筒子領といいます。

旗昙旗袍私人订制的微博_微博」の筒子領(筒子领)の映像は、チャイナボタンじゃなくてスナップを使っていますが分かりやすいです。少し纏足を思い出すような、生々しさがありますが…。

ショートボブとハイヒール・パンプス

ショートボブとハイヒール・パンプスは、この頃から定番になっていきます。いずれ、ヨーロッパのモダンガールとの類似性を突き合わせたいと思いながら、まったく果たせずすいません。

今回ご紹介した広告と同じ雑誌号に次のようなコダックの宣伝も載っていました。やはり、ショートボブとハイヒール・パンプスです。

コダックの広告。ショート・ボブ、ハイヒール・パンプス、連袖旗袍。出典は『婦女雑誌』第17巻1号、婦女雑誌社、1928年1月、134頁。

イラスト・ポスター
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ぱおつ
この記事の著者

旗袍好きの夫婦で運営しています。ぱおつは夫婦の融合キャラ。夫はファッション歴史家、妻はファッションデザイナー。2018年問題で夫の仕事が激減し、空きまくった時間を旗袍ラブと旗袍愛好者ラブに注いでいます。調査と執筆を夫、序言と旗袍提供を妻が担当。

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