1本の映画で、スリムでボディコンシャスな旗袍を20着以上も着たマギー・チャン。
出演映画「花様年華」の公開を終えて臨んだインタビュー映像から、旗袍を着る難しさとハイヒール・シューズのしんどさを述べた箇所をご紹介。
まずは、共演したレベッカ・パンが1960年代香港の旗袍をふりかえります。
映画「花様年華」で1960年代香港旗袍をふりかえるレベッカ・パン

映画『花様年華』についてレベッカ・パンのインタビュー。©2000 by Block 2 Pictures Inc.

映画『花様年華』についてレベッカ・パンのインタビュー。©2000 by Block 2 Pictures Inc.
当時のチャイナドレスは、10センチくらいの高いエリ(立領)がほとんどでした。
おまけに、映画でもわかるように、かなりボディコンシャス。それではさっそくマギー・チャンの語録をたどりましょう。
映画「花様年華」の公開を終えたマギー・チャン語録
「花様年華」撮影時のマギー・チャンは、1960年代香港の旗袍をほとんど見たことがありませんでした。
たしかに、1991年に公開されたスタンリー・クワン監督の映画「ロアン・リンユィ 阮玲玉」で、マギー・チャンは旗袍を着ましたが、1960年代香港の旗袍に比べたら、かなりゆったりめの1929年上海の旗袍。

映画『花様年華』についてマギー・チャンのインタビュー。©2000 by Block 2 Pictures Inc.

映画『花様年華』についてマギー・チャンのインタビュー。©2000 by Block 2 Pictures Inc.
60年代香港の旗袍を着た感想は…。

映画『花様年華』についてマギー・チャンのインタビュー。©2000 by Block 2 Pictures Inc.

映画『花様年華』についてマギー・チャンのインタビュー。©2000 by Block 2 Pictures Inc.
満面の笑顔。旗袍は女性を美しく見せる衣服だと語っています。
どのあたりに旗袍の魅力を感じたのでしょうか。

映画『花様年華』についてマギー・チャンのインタビュー。©2000 by Block 2 Pictures Inc.

映画『花様年華』についてマギー・チャンのインタビュー。©2000 by Block 2 Pictures Inc.
旗袍は女性特有の美しいラインをみせることができるとのこと。スリムでボディコンシャスな当時の旗袍をこう表現しています。
でも、撮影当初はキツかったようです。

映画『花様年華』についてマギー・チャンのインタビュー。©2000 by Block 2 Pictures Inc.
ボディもキツいでしょうが、一番最初に語った部位はエリ(立領)でした。先にみたレベッカ・パンは、当時の立領は10cmはあったとインタビューで話していました。
ついで、ドレス本体がキツいと。

映画『花様年華』についてマギー・チャンのインタビュー。©2000 by Block 2 Pictures Inc.

映画『花様年華』についてマギー・チャンのインタビュー。©2000 by Block 2 Pictures Inc.

映画『花様年華』についてマギー・チャンのインタビュー。©2000 by Block 2 Pictures Inc.
おまけに、ハイヒールもつらく、ヘアスタイルもメイクもセッティングに時間がかかったと…。
インタビューは続きます。
旗袍はキツく、おしゃれ全体のセットも大変でしたが、自分自身の役作りが一番大変だったと。努力しても努力しても役になりきれなく、なかなか納得のいく演技ができなかったそうです。
撮影期間は15ヶ月。この長期間のおかげで、自然な動きができるようになったと。完成した映画を見て、そう確信したそうです。
「ミスったらどうにでもなれ」とけっこう開き直りも出てきたみたいで、努力と居直りが交錯して役作りができるようになったと。
その後の話が自信にみなぎっています。
もう何を考えなくても、マニキュアを塗って旗袍を着れば、彼女(蘇麗珍)になれると。

映画『花様年華』についてマギー・チャンのインタビュー。©2000 by Block 2 Pictures Inc.

映画『花様年華』についてマギー・チャンのインタビュー。©2000 by Block 2 Pictures Inc.
マギー・チャンは「花様年華」の撮影日に毎回5時間ぐらい化粧したそうです。
マギーは美しさのために大きな代価を払いました。
毎日化粧をしてレトロな格好をするのは大変。ハイヒールを履くのはとても辛い。一時期はウォン・カーウァイ監督を罵りたいと思いました。叱り終わったら辛さを忘れました。最初は化粧と服装に慣れにくいかったのですが、9ヶ月が経ったころから、とても自然に撮影に臨めました。時間のお陰です。李尓葳『张曼玉画传』中国戏剧出版社、2004年、133・134頁
9ヶ月でやっと慣れてきた撮影。
どうして「花様年華」の撮影がこれだけ長期化したのか、また、どうして多くの衣装を使ったのか。これらの原因を旗袍にからめてマギー・チャンは話しています。
最初は知りませんでした。撮影はずっと終わりませんでしたし、よく中断しました。一部のシーンは後から加えたもので、旗袍が似合わなくなります。そこで適当な布を選んでから別の旗袍を作ります。このようにすればするほど時間が長くなりました。最初はファッションショーのように、観客は服を見まくりましたが、この後になってやっと分かりました。もし旗袍が場面でちぐはぐでしたら観客は劇中の流れを見失います。撮影は部屋のなかだったり、階段を上がったり降りたりしていますので、とても楽しかったです。李尓葳『张曼玉画传』中国戏剧出版社、2004年、134頁
チャイナドレスのスタイルアップ効果
1960年代香港の旗袍(チャイナドレス)は、タイトでボディコンシャス。マギー・チャンも語ったように、身体にキツくても、旗袍を意識すると、かえってスタイルアップが望めることもしばしば。
チャイナドレスのスタイルアップやダイエット効果を述べた記事があります(健康維持のためにチャイナドレスを動機づけることができますか?)。
この記事の著者は、18年前に上海へ旅行をしたとき、上海の仕立屋で3点の旗袍を買いました。彼女は、健康的な食生活と定期的な運動をとおし、何年にもわたって体重を維持するよう努力してきたそうです。
胃を平らに保っていると、フィットした旗袍を着ているとき、審美的に魅力的であるだけでなく、2型糖尿病、心臓病、および特定の癌リスクを高める中心性肥満を回避する良い健康結果を示します。https://www.straitstimes.com/opinion/forum/can-the-cheongsam-also-motivate-one-to-keep-healthy
そして、多くの女性がチャイナドレスを定期的に着ることで、体重増加を抑えることができるだろうと提案。
それでは、20世紀香港の旗袍をまとめた記事を紹介しながら、今回の記事はこの辺で。
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