これは杭稚英(杭穉英)が描いた、美華利鐘表行第四分行のカレンダー・ポスター(月份牌)です。
美華利鐘表行第四分行は上海小東門内(現・上海市黄浦区)にありました。
美華利鐘表行は、1876年に創業した中国の時計会社です。上海河南路三馬路(いまの漢口路)に設立されました。
国産ブランドとして全国的に有名になったのが、まさに1920年代・1930年代。
見えにくいのですが、ポスターには、分行(支店)として、上海を含む8都市が書かれています。「美華利時鐘:作為中國制鐘業的發端,“美華利”在二十世紀初百廢待興的中國製 -百科知識中文網」によると、分行の設立は、上海(1908年)、天津(1912年)、漢口(1913年)、杭州(1914年)、北京(1920年)、濟南(1922年)、武昌(1924年)、南京(1924年)とあります。
美華利鐘表行(杭稚英):旗袍のイラスト・ポスター
上にコートかマントを羽織っています。旗袍は、グレー地に薄い紫色の模様が入った半袖です。
かなり無理のあるイラストで、立領の真ん中がありません。また、大襟が立領から形成されている様子はなく、マントで隠れた右肩の中ほどから脇下へと描かれています。それで接袖に見えますが、接袖だと右肩と腕の付け根あたりから脇下へと下りるので、やはり大襟。パイピングは模様と同じ薄い紫色なので、やや大人しいです。チャイナボタンもなし。
モデルが椅子に座っている状態ですので、皺(シワ)が腹部に集まっていて、これは自然な感じ。なお、髪はパーマです。
1930年代にしてはゆったりした旗袍で、この絵葉書が1920年代の作品のようにも思えてきます。
添えらた詩には「二十年春」とあります。民国20年という表記が多いでしょうから、添付の詩は1931年としますと、まぁ、このポスターも1930年代とみるのが無難でしょうか…。30年代前半なら、曲線のラインを出しながら、あまりタイトになっていない旗袍も、よくあったでしょうかね。
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