今朝、アンティーク・ファッションが大好きなファッションモデル兼デザイナーのシルヴェットさんから、旗袍の写真を共有していいと返事をいただきました。
シルヴェットさんお気に入りの2つのビンテージ旗袍(复古旗袍)です。さっそくシェアします♪
私はチャイナドレスの大ファンです💗💗 どうぞ! 紫色のものは1950年代のビンテージ旗袍で、1940年代のものは私のお気に入りの旗袍です! 😘 by Sylvette
1950年代ビンテージ旗袍(紫色の旗袍)
紫色の旗袍は1950年代のビンテージ旗袍(复古旗袍)。白色のサテン生地に紫色の花柄プリント。アッサリした感じです。
まず、旗袍の構成要素から。
- 立領は大円領で、高さは3cmから5cmほどの幅です。
- 大襟は大円襟で、ゆったり丸く、腋窩まで続いています。
- チャイナボタンは、立領に1個、大襟に1個。右身頃にはファスナーを装着していそうです。形は菊かなぁ。とにかく、花ボタンです。
- スリットは、膝上10cmくらいの高さです。裾丈は膝頭あたりか膝下5cmほど。
ダーツは、脇ダーツ、胸ダーツ、腰ダーツがあります。かなりボディコンシャスな旗袍です。
袖つけは接袖の半袖。パイピングは生地に合わせた白色で、5mmから7mmほどの幅でしょう。
肩縫線はわかりません。たぶん、入っていそう。
1926年に創刊した雑誌『良友』の表紙かのように加工しているのが面白いです。
左の写真から右の写真へ、フォトショップを使って加工できるのか、私はわかりません。できるのなら凄いですね。
1940年代ビンテージ旗袍(复古旗袍)
ついで、シルヴェットさんお気に入りの1940年代ビンテージ旗袍(复古旗袍)。
かなりお気に入りなのか、着ているときの表情が嬉しそう。ニコニコしています。
福袋を持っているので、旧正月に撮影されたのかもしれません。
長袖オレンジのハーフコートや半袖パープルのベストもおしゃれです。
コートの袖口は黒の馬蹄形なので、つい清代旗袍まで思い出しました。ベストはマトンスリーブ。帽子や靴やバッグもふくめて、すべて1940年代でまとめたようです。
さて、旗袍。
- 立領は、小円領です。縦に長めで、高さは6~7cmくらい。けっこう高め。
- 大襟は、斜襟になっていて、腋窩へ一直線です。
- チャイナボタンは、立領に2個、大襟に2個。角度が見えにくいですが、右身頃に5つほど付いているかもしれません。
- スリットは膝丈まであって、30cmほどの高さです。ちなみに、裾丈はローヒール・パンプスの踵から7cmほどまで。
この旗袍もパイピングが細いです。紫の旗袍よりもこちらの方が細そうです。
平肩連袖というか、ノースリーブに近いです。肩縫線はわかりません。
ダーツはなさそうです。左身頃に長い縦線がありますが、折り目でしょうか。ダーツがなくても、これだけ胸部を盛り上げられるのは、归拔を使っているかもしれません。
分析を終えて
1940年代と1950年代のビンテージ旗袍は、それぞれの姿をもっていました。
当時、どちらの旗袍も、かなりボディコンシャスだったはずです。とはいえ、二つの旗袍は姿が違います。
1940年代の旗袍は、胸部にアクセントを置いています。1930年代のアメリカでは女性のブラジャーが立体的になりました。この影響から1940年代の旗袍も胸部を強調したと推測します。
これに対して、1950年代の旗袍は腰部と臀部にアクセントを置いています。胸部もアクセントがないわけじゃないですが、1940年代の旗袍がウェストを締めていないのに対し、50年代の旗袍はかなりウェストを絞っています。だから、こういう風に見えます。
そういえば、1940年代のビンテージ旗袍の8枚目のイラストが勉強になります。ボディコンシャスは花柄の旗袍は花瓶に似ています。旗袍も花瓶も曲線美をもつからです。
シルヴェットさんのこの作品をみて、私は、中華系ハリウッド女優だったアンナ・メイ・ウォンが、しばしば旗袍を着て花瓶と一緒に写真をとっていることを思い出しました(Anna May Wong with Chinese vase)。
写真のシェアを快く引き受けてくださったシルヴェットさん、ありがとうございました。
記事を書いていて、なぜかニューヨークと上海を行ったり来たりしている気分になりました。そういえば、シルヴェットさんがどこで暮らしていらっしゃるかすら分からずに、私は写真のシェアを申し出たのでした。インターネットの時代は面白いです。
シルヴェットさんのSNS
シルヴェットさんのSNSは次のとおりです。
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