作者不詳のポスターです。スキャン元は中国上海XXLの絵葉書です。
インダンスレン染料を使った濃い藍色の旗袍。色が鮮やかです。民国期のビンテージものをネットで見るかぎり、実物もこれくらい鮮やかだったようです。
左側に縦書きの赤文字で「エレガントで質素な女子学生が選ぶインダンスレン色布」と書いてあります。学生服の旗袍でもインダンスレン布は愛用されたのでしょう。
晴雨商標:インダンスレン布の旗袍イラスト
イラスト全体の印象ですが、ラインがしっかり描けています。当時のインダンスレン染料を使った旗袍の広告ポスターでは、晴雨商標が多く登場します。
この旗袍はいたってシンプル。インダンスレンの藍色をベースに、パイピングは薄めの色を使っています。色の名前がわかりません。
平肩連袖の半袖。立領はかなりハイカラーで、右首あたりの立領が肩から続く布の盛り上がりのようにみえて、上手く描けていません。
チャイナボタン省略して描いていますが、襟元に4点のボタンを配置しています。
臀部から脚部にかけてすっきりと描いています。皺(シワ)の薄いのですが、皺の発生方向が自然。モデルを左側から描写していています。傘の間からスリットが見えています。開いたスリットの白色裏地が見えています。
驚いたことに、次のような掛け軸ポスターがありました。上に紹介した絵葉書イラストは、この掛け軸をもとに作られたと思われます。
驚いたのは、ご覧のとおり、旗袍の生地が違うことです。インダンスレン染料は藍色に仕上がるはずですが、薄い紫色で印刷されています。こちらのイラストのほうが臀部や脚部の皺(シワ)が鮮明で、臀部にシワが集まりすぎてる気もしますが、脚のシワはまぁまぁ自然かと感じます。
掛け軸段階でそうなったか、出典元の本の印刷段階でそうなったか、わかりません。あるいは、もとから別の生地色として、2種類の掛け軸を用意したのでしょうか…。
インダンスレン布を使った旗袍
インダンスレン染料を使った生地は、1930年代に学生服や制服、それに日常用の旗袍にまで広く使われました。
カレンダー・ポスターにも、この趨勢は反映しています。インダンスレン布に関する記事リストを次の記事にまとめているのでご参照ください。
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