作者不詳のポスターです。スキャン元は3種類。かなりよく使われるイラストです。
右の女性の旗袍は、インダンスレン染料を使った濃い藍色が鮮やかです。民国期のビンテージものをネットで見るかぎり、実物もこれくらい鮮やかだったようです。
今回ご紹介するのは、インダンスレン布を使った旗袍の広告ポスター。作者は不詳です。永遠に色あせないというフレーズが左右に1つずつ。
規格:51.8cm×35.9cm、趙琛珍蔵。
インダンスレン布を使った旗袍の広告ポスター
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インダンスレン。規格:51.8cm×35.9cm、趙琛珍蔵。趙琛編著『中国近代広告文化』大計文化事業有限公司、台湾、2002年、237頁。
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「インダンスレン布の旗袍は1930年代ファッションの重要アイテム。インダンスレン布を使うと、装飾はシンプルでエレガント。旗袍のパイピングや素材が絶妙になりやすく、女子学生や職員だけでなく、閣僚たちにも人気でした」。包銘新主編『世界服飾博覧 中国旗袍』上海文化出版社、1998年、31頁。
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インダンスレン布の旗袍。作者不詳。唐詩の本をもっている点に注目。出典元には次のような説明あり。「ふつう、エレガントな女性は旗袍の色彩を引き算はしても足し算はしません。なぜなら、赤色や緑色は他人の目に不快感を与えることを知っているからです」。白雲『中国老旗袍:老照片老広告見証旗袍的演変』光明日報出版社、北京、2006年、120頁。
イラスト全体の印象ですが、ラインがしっかり描けています。当時のインダンスレン染料を使った旗袍の広告ポスターでは、晴雨商標が多く登場します。
旗袍の分析
二人とも旗袍を着ています。どちらもスリムな旗袍。丈がかなり長くて、お掃除旗袍です。平肩連袖で、半袖です。1930年代のイラストでしょう。
唐詩の本を持った左の女性は薄い黄色か薄い緑色の旗袍を着ています。ポスター下にインダンスレン布の紹介があります。インダンスレンというと、つい藍色を想像してしまいますが、この薄い黄色か緑色の布もインダンスレン布の1種だったようです。
この旗袍のパイピングがおしゃれです。生地より濃い目の緑色2種類と白色1種類の合計3色で、線入り縁どり(镶滚)を作っています。チャイナボタンの色も濃い緑色のパイピングにあわせていますね。ボタンは立領に2点、身頃には見える範囲で6点のボタンがついています。
脇下や裾をみると皺(シワ)のより具合がかなりリアル。頭はボンボリつきのカチューシャ。
右の女性の旗袍は、コテコテの藍色旗袍。
白色か黄色のパイピング。ダーツなしでもかなりタイトです。チャイナボタンは、左の女性と同じく立領に2点、身頃に6点。二人とも見えない部分がありますが、補ってみるともう1点ずつはついているでしょう。左の女性の脇下に1つと、右の女性のスリットすぐ上あたりに1つ。
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