このチャイナ服のイラストは謝之光の描いた、林文烟という化粧品メーカーのカレンダー・ポスター(1927年)です。
上のほうに花露香水、花露香粉と書いています。林文烟はアメリカの化粧品ブランドといわれますが、詳細は不明です。
林文烟カレンダー・ポスター(謝之光)のチャイナブラウス
この上衣は難しいです。袖なしのベストなのか、2種の生地でつくった旗袍(というかチャイナブラウス)なのか。どっちみち、このモデルはスカートを穿いているので、ツーピースを想定としたジャケットかブラウスといったところ。
ただ、立領、大襟、チャイナボタン、スリットが確認できます。旗袍の構成要素をクリアしているのでとりあげました。
立領と身頃は黒地。身頃に金色の刺繍らしき紋様。パイピングは白色か金色。袖はオレンジ色の大袖。
この辺は1920年代らしい、清代や1910年代を引きずった形です。他方、スカートの丈が長く、また、上衣の凹み部分がかなり上に来ているので、黄金比をふまえている点はかなり西洋化しているともいえます。
靴はストラップつきのローヒール。イヤリングに大きな赤い花。髪はパーマなしのショートヘア。
白雲『中国老旗袍』では次のように説明されています。
「小さなセンスを手に持ち、ドレープのような風合いのロングスカートを穿いて、裾をたっせる出飾り、腰を引き締めた美しさ。クラシックのなかに神事代の女性解放を物語っている」(白雲『中国老旗袍 : 老照片老広告見証旗袍的演変』光明日報出版社、北京、2006年、104頁)。
清代や民国初期の旗袍やチャイナ服を引き継ぎながらも、西洋化を内包している点に、著者も躍動感を感じているようです。
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